犬の耳はどうなっているの?
犬も人も耳は外耳・中耳・内耳の3つの部分に分けられます。
外耳と中耳は鼓膜で仕切られていますが、犬は人より鼓膜から外につながる外耳の部分(外耳道)が長くなっています。
そのため、風通しが悪く、湿度がこもりやすくなったり、暑さが逃げにくくなったり、外耳道にトラブルを起こしやすくなります。外耳道でおこるトラブルの多くは外耳炎です。
耳のトラブル(外耳炎)の原因は?
外耳炎をはじめとした耳のトラブルを引き起こす原因はいくつかあります。一例として、以下のようなものがあります。
また以下は単独で外耳炎の原因にはなりませんが、組み合わさることで外耳炎を引き起こすことがあります。
外耳炎のサインは?
外耳炎になると、犬は外耳道に痒みや痛みなどの違和感を覚えて、以下のような行動や症状が見られるようになります。
常に耳に痒かゆみや痛みがある状態は、犬にとっても大きなストレスです。イライラして攻撃的になったり、塞ぎ込んだりといった性格的な変化が見られることもあります。
犬の病気の中でも、外耳炎はトップクラスの多さです。そのため、ほとんどの犬が一生のうちに何度か外耳炎になるといわれています。また、一度症状が治っても、しばらくすると再び症状が出てきてしまうことも少なくありません。外耳炎は、長引けばそれだけ犬にストレスをかけてしまいます。上のようなサインが見られたら、早めに獣医師に相談しましょう。治療が早ければ早いほど犬にとってストレスは少なく、治療期間も短くて済みます。
外耳炎を予防することはできるの?
犬にとっても飼主様にとっても、つらい外耳炎。それを防ぐ方法はあるのでしょうか。
残念ながら、確実に外耳炎を予防する方法はありません。しかし、耳の中が外耳炎になりにくい状態に保つ努力は非常に重要です。
まず、単独で外耳炎を引き起こす原因がある場合は、それをきちんと治療します。例えば、犬アトピー性皮膚炎であれば痒み止めの投薬、食物アレルギーであれば適切なドッグフードの選択など、そのコに合った適切な治療を行っておくことで外耳炎になりにくくすることは可能です。
それに加え、適切な耳のお手入れをすることで、より外耳炎のリスクを下げることができます。
耳のお手入れはどのようにするの?
色々な犬猫用の耳洗浄液が販売されています。
そのなかでも、以下のような特長を持った低刺激性のものを選ぶようにしましょう。
また、洗浄の間隔は犬の耳の状況で変わるので、獣医師に相談しましょう。全く耳掃除をしないのはよくありませんが、最近は耳掃除のやりすぎで外耳炎になったり、外耳炎が悪化したりしているケースが多いと言われています。
家での耳洗浄だけでなく、1か月に1回くらいを目安に動物病院で耳の検診を受けることで耳の健康を維持するようにしましょう。
子犬の時期から耳に触られることに慣れさせておくと、その後のケアがやりやすくなります。ただし、家での耳洗浄を犬が嫌がるようであれば、無理せず動物病院にお願いしてください。
外耳炎になると、炎症による痒みや痛みを鎮める点耳薬が処方されます。お薬が炎症を起こしている部分にしっかり届くようにするためにも、点耳の前に外耳道の余分な汚れを落とす耳洗浄は大切になります。
犬用の点耳薬のほとんどはステロイド剤や抗生物質などが混ざった薬剤です。これによって痒みや腫れなどの炎症をしっかり抑えると共に、多くなりすぎた菌の数を減らします。ステロイド剤の中には全身への副作用の影響が少なくなるよう工夫されている製剤もありますし、点耳薬にも色々な種類があります。今までは毎日家で点耳するタイプのお薬が使われていましたが、最近では動物病院で点耳して1週間効果が持続するタイプのお薬もあります。症状や犬の性格に合わせて獣医師と相談しましょう。
炎症が重度で痛みが強い時には、耳掃除や点耳薬を使用することで耳を触られることがトラウマになってしまうことがあります。そのため、外耳炎の症状がひどい場合は一時的にステロイドなどの飲み薬が処方されることもあるでしょう。
点耳薬でも飲み薬でも、投与が終わったら獣医師の診察を受け、耳の状態をチェックしてもらうようにしましょう。
家での耳のお手入れ方法はこちら
最後に
外耳炎は非常に頻繁にみられる病気の一つであるにも関わらず、場合によってはどんどん炎症が進行してしまい、お薬を使っても治療の効果が出ない状態になってしまうことがあるという怖い病気です。最終的に外科手術が必要になることもあります。そうならないためにも、定期的な耳のお手入れと動物病院での検診で、早期発見・早期治療を心がけましょう。